ご葬儀後に行う「挨拶回り」の完全ガイド|タイミング・マナー・場面別例文を徹底解説
ご葬儀という人生の大きな節目を終えた後、喪主様やご遺族様には心身ともに大きな疲労が残っていることとお察しいたします。しかし、ご葬儀が滞りなく執り行えたのは、ひとえに僧侶、近隣の方々、職場関係者、そして故人様と縁の深かった皆様の支えがあったからこそです。
「挨拶回り」とは、こうした方々へ感謝を伝え、故人様が生前賜ったご厚情に改めてお礼を申し上げる儀礼です。また、この挨拶は「忌明け」に向けた最初の一歩であり、遺族が社会的なつながりを再確認するための大切なプロセスでもあります。
本記事では、多忙な中で迷いがちに挨拶回りの作法について解説していきます。
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挨拶回りには誰が伺い、誰を訪ねるべきか?
挨拶回りは、原則として「葬儀の責任者」が行うべきものです。
誰が行くべきか
基本的には喪主が伺います。ただし、お一人で伺うよりも、ご遺族様のどなたかが同行し、2名体制で回るのが一般的です。喪主が未成年の場合や、ご高齢・体調不良などの事情がある場合は、親族代表などの代役が務めても全く問題ありません。その際は「喪主が伺うべきところ、本日は名代(みょうだい)として参りました」と一言添えるのが礼儀です。
訪問すべき対象者
以下の4つのカテゴリーの方々が、主な訪問対象となります。
1. 寺院(僧侶): 最も優先すべき方です。
2. 近隣の方々: ご葬儀の際、車両の出入りや音などでご不便をおかけした方、町内会でお世話になった方。
3. 葬儀でお世話になった役員・世話役: 受付や会計などを手伝ってくださった方。
4. 故人様の勤務先・学校: 事務手続きや、同僚の方々へのお礼。
挨拶回りを行う「最適なタイミング」
挨拶回りは「早いほど良い」とされていますが、具体的には以下のスケジュールを目安にします。
理想は「翌日」から「初七日」まで
最も丁寧なのはご葬儀の翌日、あるいは翌々日です。時間が経つほど感謝の熱量は薄れてしまうため、記憶が新しいうちに伺うのがベストです。遅くとも、故人様が極楽浄土へ向かう旅の最初の節目である「初七日(しょなぬか)」までには済ませるようにしましょう。
相手への事前連絡は必須
「早めに」と言っても、突然の訪問は相手を困らせてしまいます。必ず事前に電話などで連絡を入れ、「昨日はありがとうございました。本日 (あるいは明日)、短いお時間ですがご挨拶に伺ってもよろしいでしょうか」と都合を確認するのが現代のマナーです。
訪問先別: 挨拶のマナーと心得
伺う場所によって、気をつけるべきポイントが異なります。
① 寺院 (僧侶) への挨拶
お布施を当日お渡ししていない場合は、この挨拶回りの際に持参します。
● 場所: お寺の庫裏 (くり) へ伺います。
● マナー: お布施は直接手渡しせず、切手盆 (きってぼん) に乗せるか、袱紗(ふくさ)から出してその上に乗せて差し出します。
② 近隣・町内会への挨拶
ご葬儀の際、近隣には少なからず迷惑(車の往来や騒音、人の出入り)をかけているものです。
● 場所:両隣、向かいの3軒、裏の3軒(向こう三軒両隣)が目安です。
● マナー: 玄関先での挨拶に留め、長居はしないのが鉄則です。
③故人様の職場への挨拶
仕事道具の返却や、給与・年金等の手続き、ロッカーの片付けなどを兼ねる場合が多いです。
● マナー: 就業時間を避け、お昼休みや夕方の落ち着いた時間帯を選びます。直属の上司や人事担当者、お世話になった同僚の方へ挨拶します。
挨拶回りの服装と持ち物
服装について
「略喪服」または「落ち着いた平服」が適切です。
● 男性: 黒や紺、ダークグレーのスーツに、地味な色のネクタイ。
● 女性: 黒や紺のワンピース、アンサンブルなど。
● 注意点: 葬儀直後であれば喪服 (黒スーツ)でも失礼にはなりませんが、数日経っている場合は、相手に気を遣わせないよう地味な平服を選ぶのがスマートです。
お礼の品(手土産)について
挨拶回りには、500円~1,000円程度のちょっとした手土産を持参するのが一般的です。
● 品物: 相手が気兼ねなく受け取れる「消え物」が良いでしょう。タオル、洗剤、お茶、個包装のお菓子などが定番です。
● のし (掛け紙): 水引は「黒白の結び切り」または「黄白」を使用。表書きは「御礼」や「志」とし、下段に喪主の姓を書きます。
すぐに使える! 状況別・挨拶の例文
短く、かつ感謝が伝わる言葉を選びましょう。
近隣の方へ
「昨日は亡き父の葬儀に際し、ご多忙中にもかかわらずご参列いただき、誠にありがとうございました。また、葬儀中はお騒がせし、ご不便をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。おかげさまで、無事に送り出すことができました。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。」
お世話になった世話役・役員の方へ
「この度は、父の葬儀に際しまして、ひとかたならぬお力添えをいただき、心より感謝いたしております。皆様のお力添えがなければ、このように滞りなく終えることはできませんでした。本来であればゆっくりお礼を申し上げるべきところ、まずは無事に終了したご報告とお礼までにお伺いいたしました。」
挨拶に伺えない場合の対応: お礼状の書き方
遠方の方、高齢で外出が難しい方、あるいは弔電や供花・供物のみをいただいた方には、「お礼状(会葬礼状)」を出すことで挨拶に代えます。
お礼状のポイント
● 期限: 葬儀後一週間以内には投函しましょう。
● 忌み言葉:「度々」 「重ね重ね」などの言葉は避け、句読点(、。)を使わないのが正式なマナーです。
例文
謹啓 御尊家御一同様におかれましては益々御清祥のこととお慶び申し上げます亡父○○儀葬儀に際しましては御多忙中にも拘わらず御丁重なる御弔電ならびに御供花を賜りまして誠に有難く厚く御礼申し上げます おかげをもちまして葬儀も滞りなく相済ませることができました拝眉の上親しく御礼申し上げるべきところ略儀ながら書中をもちまして謹んで御礼申し上げます 謹白
まとめ
挨拶回りは、形式的な義務ではありません。故人様がこれまで築いてきた人間関係を、ご遺族様が大切に引き継ぐための儀式です。
喪主様は、悲しみと疲れの中で「何を話せばいいのか」と不安になることもあるでしょう。しかし、立派な挨拶よりも、足を運び「ありがとうございました」という一言を伝えること自体に価値があります。その一歩が、故人様への何よりの供養となり、残されたご遺族様が前を向くための力になるはずです。
もし体力が追いつかない場合は、無理をせず、信頼できる葬儀社の担当者に相談したり、お礼状を優先したりするなど、心にゆとりを持った対応を心がけてください。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。



