葬儀知識・マナー公開日 2025.11.21｜最終更新日 2025.11.21

お布施でダメな金額はある？相場やマナーについて解説

お布施

ご葬儀や法要でお世話になった僧侶には感謝の気持ちを込めて「お布施」を渡します。しかし、人生の中でお布施を用意する機会はあまりないため、「いくら包めば良いのか」「ダメな金額はあるのか」と気になっている方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、お布施の金額やマナーについて解説します。いざというときに失礼なく対応できるよう、基本知識を身につけておきましょう。

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お布施でダメな金額はない

お布施は本来、宗教行為（読経や戒名など）への対価ではなく、ご本尊への感謝の気持ちを表すものです。あくまでお気持ちで納めるものであるため、決まった金額はありません。

つまり、お布施でダメな金額はないといえますが、「死」や「苦」を連想させる数字（4・9）を含む金額、「故人様と縁が切れる」という意味を持つ偶数は避けたほうが良いとされています。加えて、金額があまりに低すぎると、寺院や僧侶に対して失礼にあたる場合があるので注意が必要です。

そもそもお布施とは

お布施とは、ご葬儀や法要などでお世話になった僧侶に渡す金銭のことです。本来のお布施は仏教の修行の一つであり、「人に施しを与える」という意味を持ちますが、現代では僧侶に対する謝礼として広く認識されています。

お布施の金額の目安はいくら？

お布施の金額に明確な決まりはありませんが、大まかな相場は存在します。目安となる金額は儀式の種類によって異なるため、この機会に確認しておきましょう。

ご葬儀の場合

ご葬儀のお布施の相場は200,000〜300,000円です。一般的に、ご葬儀のお布施には読経料や戒名料が含まれますが、別途御車代や御膳料を渡すこともあります。御車代は5,000〜10,000円程度、御膳料は10,000〜20,000円程度が目安です。

なお、ご葬儀のお布施の金額は地域や宗派、儀式の内容によって大きく変動します。判断に迷ったときは、菩提寺や葬儀社などに相談してみると良いでしょう。

忌日・年忌法要の場合

法要は大きく分けて「忌日法要」と「年忌法要」の2種類があります。忌日法要は故人様が亡くなった日から7日ごとに行う法要です。

一方で、年忌法要は決められた節目の年の命日に行う法要を指します。それぞれの法要のお布施の相場は以下のとおりです。

忌日法要の種類	お布施の金額の目安
初七日	30,000〜50,000円
二七日（ふたなのか）～六七日（むなのか）	5,000〜10,000円
四十九日	30,000〜50,000円
百箇日法要	30,000〜50,000円

年忌法要の種類	お布施の金額の目安
一周忌	30,000〜50,000円
三回忌	10,000〜50,000円
七回忌以降	10,000〜50,000円
弔い上げ	50,000〜100,000円

法要のお布施の金額もさまざまな条件によって変動するため、上記の相場はあくまで参考程度に留めておきましょう。

納骨法要の場合

納骨法要とは、故人様の遺骨をお墓や納骨堂に納める儀式のことです。「納骨式」とも呼ばれており、一般的には四十九日法要とあわせて行います。

納骨法要のお布施の相場は10,000〜50,000円です。僧侶が自家用車や公共交通機関を利用して来られる場合は、別途御車代を用意する必要があります。

新盆・初盆の場合

新盆・初盆とは、故人様が亡くなってから初めて迎えるお盆のことです。このタイミングで行う法要を「初盆法要」といい、お布施の金額は30,000〜50,000円が相場とされています。

ちなみに、通常のお盆における法要のお布施の金額は5,000〜20,000円が相場です。新盆・初盆では通常のお盆よりも盛大に供養を行うことが多いため、お布施の金額は高くなる傾向があります。

お布施でのマナーは？

お布施に関するマナーは多いため、事前に確認しておくと安心です。ここでは、お布施の包み方や書き方、渡し方の基本マナーをご紹介します。

お布施を包む際のマナー

お布施は「奉書紙（ほうしょし・ほうしょがみ）」で包むのが正式な作法です。奉書紙とは、冠婚葬祭などで使われる和紙の一種で、つるつるしたほうが表面、ざらざらしたほうが裏面になります。包み方に関しては、まずお札を半紙で包み、その上から奉書紙で包むのが基本です。

また、奉書紙を用意できない場合は、コンビニなどで購入できる「白い封筒」を使用しても問題ありません。お布施を入れる封筒は柄や郵便番号枠がない無地で真っ白なものが適しています。加えて、不幸が重なることを連想させる二重封筒は避けるのがマナーです。

お布施の書き方のマナー

お布施袋には表書きや裏書きを書く必要があります。いずれも薄墨ではなく、濃墨で書くのがマナーです。ご香典では哀悼の意を込めて薄墨を使いますが、お布施は故人様への弔意を表すものではないため、濃墨を使うのが正しい作法とされています。

ただし、濃墨と薄墨の使い分けは地域によって異なる場合があるので注意が必要です。その他にもお布施の書き方にはさまざまなマナーが存在するため、以下で詳しく解説します。

＜お布施の表書きの書き方＞

お布施の表書きは、封筒表面の中央上部に「御布施」または「お布施」と記載します。封筒にあらかじめ印字されている場合は、そのまま使用して構いません。

また、中央下部には喪主（施主）の名前をフルネームまたは名字のみで記載します。お布施は「家」として用意するものであるため、「〇〇家（名字＋家）」と書いても問題ありません。

＜お布施の中袋の書き方＞

中袋がある場合は、表面の中央に包んだ金額を旧字体で記載します。例えば、10,000円なら「金壱萬圓也」、100,000円なら「金拾万圓也」と書くのがマナーです。

また、裏面の左下には郵便番号・住所・名前を記載します。儀式を終えた後に連絡を取り合う可能性がある場合には、電話番号も書き添えておくと安心です。これらの情報は寺院側が事務処理をする際に必要となるため、正確に記載しましょう。

＜お布施の裏書きの書き方＞

お布施の裏書きは、封筒裏面の左下に住所と金額を記載します。まずは住所を書き、その左側に金額を書きましょう。先ほども軽く触れましたが、お布施の金額は旧字体で書くのがマナーです。

また、封筒裏面の右上に金額、左下に住所や名前などを書くという方法もあります。これらの情報を裏面にまとめることで、寺院側はお布施の詳細をすぐに確認することが可能です。

お布施を渡す際のマナー

お布施は「袱紗（ふくさ）」と呼ばれる布に包んで持ち運ぶのがマナーです。渡すタイミングに厳密なルールはありませんが、一般的にはご葬儀や法要の開始前または終了後に渡すケースが多く見られます。

しかしながら、儀式当日は何かと慌ただしいため、お布施を渡すタイミングを逃してしまうこともあるかもしれません。もし当日にお渡しできなかった場合は、できるだけ早く寺院に伺い、感謝とお詫びの言葉を添えてお渡しすると良いでしょう。

お布施の渡し方については、直接手渡しするのではなく、袱紗や切手盆にのせて両手で差し出すのがマナーです。その際、封筒の向きは僧侶から見て正面になるようにし、「本日は〇〇の葬儀でお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。」などの挨拶の言葉を添えてお渡しします。

まとめ

お布施でダメな金額はありませんが、「死」や「苦」を連想させる数字（4・9）を含む金額、「故人様と縁が切れる」という意味を持つ偶数は避けるのが一般的です。加えて、あまりに低すぎる金額も失礼にあたる場合があるため、相場を確認した上で妥当な金額を包むようにしましょう。