社葬に参列する際のマナーは?受付や焼香でのマナーやするべきではないことを解説
 
                              社葬は企業の創業者や会長などが亡くなった際に、企業が主体となって執り行うご葬儀です。もし社葬に参列することになった場合には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
本記事では、社葬に参列する際のマナーについて詳しく解説します。いざというときに落ち着いて対応できるよう、基本的な知識を身につけておきましょう。
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そもそも社葬とは?
社葬とは、企業が主体となって執り行うご葬儀のことです。このご葬儀では故人様の死を悼むとともに、生前の功績を称える意味合いがあります。また企業にとっては今後の経営姿勢を社内外に示す重要な機会でもあり、広報活動としての側面を持っているのも特徴です。
一般的に、社葬は親族がご葬儀を終えてから1〜2ヶ月程度で行われます。社葬の対象となる主な人物は以下のとおりです。
<社葬の対象者>
● 企業のトップ(創業者・会長・社長)
● 企業の発展に大きく貢献した社員
● 業務遂行中に殉職した社員
企業が主催する社葬は比較的規模が大きく、顧客や株主、取引先も参列します。そのため、社葬を執り行う場合には、葬儀委員長の選出や関係各所への通知といった事前準備が必要です。
合同葬・お別れ会との違い
合同葬は企業とご遺族が合同で執り行うご葬儀です。社葬の一種であり、一般的には故人様が亡くなられてから1週間以内に行われます。合同葬では企業とご遺族で費用を分担できますが、準備期間が短いため、双方が協力して迅速に対応することが重要です。
また、お別れ会は密葬の後に執り行うセレモニー(故人様を偲ぶための会)を指します。こちらも社葬の一種ではありますが、一般的な形式よりも宗教色が薄く、より自由なスタイルで行えるのが特徴です。例えば、ホテルやレストランでの会食、パネルやスライドを使った上映会なども開くことができます。
訃報や社葬のお知らせを受けたらどうする?
訃報や社葬の連絡を受けた際には、以下のような対応が求められます。
<訃報や社葬のお知らせを受けた際の対応>
● 社葬の詳細を確認する
● 参列する人を選ぶ
● 香典や供花を準備する
● 参列できない場合は弔電を用意する
それでは、各項目について詳しく見ていきましょう。
社葬の詳細を確認する
社内外から訃報が届いたら、まずは社葬の詳細を確認しましょう。具体的には「いつ・どこの・誰が亡くなったのか」「お通夜やご葬儀・告別式の日程」などを確認します。社葬では参列者を限定するのが一般的であり、また香典を辞退するケースも多いため、これらの点もしっかりと確認することが大切です。
参列する人を選ぶ
社葬には各社の代表者が参列するのが一般的です。そのため、社葬のお知らせを受けた際には、自社から誰が参列するかを決める必要があります。
社葬の参列者は故人様と同等以上の役職者を選ぶのが基本です。亡くなられた方と同等以上の立場にある方が参列することで、故人様への敬意と自社の姿勢を示すことができます。
また、故人様と深い関わりがあった場合は、あらかじめ先方や上司に確認した上で、お通夜にも参列するのが望ましいでしょう。
香典や供花を準備する
社葬に参列する方は香典や供花を用意する必要があります。しかし、社葬では香典や供花を辞退するケースが非常に多いです。訃報などで香典や供花の辞退を伝えられている場合は、それらを用意する必要はありません。
参列できない場合は弔電を用意する
参列予定の役職者の都合がつかない場合は、代理人を立てるとともに、弔電を出すのが通例です。加えて、代理人が社葬に参列する際は、本来の参列者の名刺を持参するのがマナーとされています。会場に赴くことが難しい場合には、弔電を送付しても問題ありません。
社葬に参列する際の受付でのマナー
社葬の会場には受付が設置され、参列者はそこで芳名帳への記入や香典の引き渡しなどを行います。もし社葬に参列することになった場合には、後述するマナーに気をつけながら、速やかに受付を済ませましょう。
記帳をする
社葬の受付では芳名帳への記入を促されるのが一般的です。芳名帳は参列者の情報を記録しておくためのものであり、その書き方は参列者の立場によって異なります。
・個人で参列する場合
個人で参列する場合は、自分の住所と名前を記入します。
・会社の代表として参列する場合
会社の代表として参列する場合は、会社の所在地と正式名称を記入し、「代表」と記してから自分の住所と名前を記入します。
・代理人(会社の代表の代理)として参列する場合
代理人として参列する場合は、会社の所在地と正式名称を記入し、本来の参列者の部署・役職・名前を記入します。その名前の左側、もしくは下側に「代理」や「代」と記してから自分の名前を記入しましょう。
受付の方に名刺をお渡しする
社葬で記帳をする際には、受付の方に名刺をお渡しします。提出する名刺は左下を折るか、右上に「弔」と記載するのがマナーです。代理出席の場合は、出席予定だった方の名刺の右上に「弔」と書き、自分の名刺の右上に「代」と書いて渡すのが通例となっています。
香典をお渡しする
社葬での香典のマナーは一般的なご葬儀とほとんど変わりません。受付前で袱紗(ふくさ)から香典を取り出し、受付の方から見て表書きの文字が読めるように向きを変えてお渡しします。事前に香典辞退の連絡を受けている場合は、香典を渡す必要はありません。
社葬に参列する際の焼香のマナー
社葬で受付を済ませた後は、係員の指示に従って入場し、指定された場所で焼香を行います。焼香の作法やマナーは社葬でも個人葬でも大きく変わりません。ここでは、焼香の基本的なやり方をご紹介します。
仏式の場合
仏式のご葬儀では抹香を炊くのが一般的です。宗派によって作法が異なる場合もありますが、基本的には以下のような流れで行います。
<焼香の基本的な流れ>
1. 焼香台の前まで進み、遺族と僧侶に一礼する
2. さらに焼香台に近づき、祭壇に向かって一礼する
3. 右手の親指・人差し指・中指で抹香をつまみ、額に押しいただく
4. 抹香を香炉にくべる
5. 合掌後、焼香台から1歩下がり、遺族に一礼して席に戻る
神式の場合
神式のご葬儀では焼香に代わる儀式として「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を行います。玉串奉奠とは、「玉串」と呼ばれる榊の枝に紙垂(しで)をつけたものを祭壇に捧げ、故人様の安寧を祈る儀式のことです。弔事の場では音を立てない「忍び手」で行うのがマナーとされています。
<玉串奉奠の基本的な流れ>
1. 神官に一礼し、玉串を受け取る(根元を右手で持ち、葉先を左の手のひらに乗せる)
2. 祭壇に進み、一礼する
3. 玉串の根元が手前に来るように時計回りに回す
4. 左右の手を持ち替え、時計回りで根元を祭壇に向ける
5. 祭壇に玉串を置き、二礼二拍手一礼をする
6. 神官と遺族に一礼して席に戻る
社葬に参列する際の服装のマナー
社葬に参列する際の服装は「喪服」が基本です。この点は一般的なご葬儀と変わりありませんが、社葬の参列者は会社の代表として扱われるため、身だしなみには十分に注意しなければなりません。ここからは、社葬での服装マナーを男性と女性に分けて解説していきます。
男性の場合
社葬に参列する男性は黒のフォーマルスーツに白のワイシャツを着用します。ネクタイ・靴下・革靴もすべて黒で統一するのがマナーです。弔事の場に華美な装いはふさわしくないため、ネクタイや革靴は光沢がないものを選び、カフスなどのアクセサリーは身につけないようにしましょう。
女性の場合
女性に関しても、黒のスーツやワンピースなどブラックフォーマルを着用するのが基本です。弔事の場では肌の露出を控えるのがマナーであるため、シャツやトップスは胸元が開きすぎていないものを選びましょう。
また、ストッキング・パンプス・バッグもすべて黒で統一します。アクセサリーはパールのネックレス程度に留め、メイクや髪型、香水についても控えめにするのがマナーです。
参列時に控えるべき行動は?
社葬には多くの企業関係者が参列しますが、名刺交換や商談、世間話をするのはマナー違反です。会場では私語や雑談を控え、弔事の場にふさわしい振る舞いを心掛けましょう。
まとめ
社葬は故人様の死を悼むとともに、生前の功績を称える重要な儀式です。この儀式にはご遺族だけではなく、企業関係者も参列するため、言動や服装には細心の注意を払うことが求められます。もし社葬に参列することになった場合には、本記事でご紹介したマナーや注意点を振り返り、適切な方法で故人様への哀悼の意を示しましょう。
間違えのない葬儀社の選び方や注意点をはじめ、さまざまな葬儀の知識・マナーを分かりやすくお伝えします。



