地蔵盆とは何をする行事？行われる時期や場所、やることなどを解説

地蔵盆とは？

地蔵盆とは、毎年夏に行われる地蔵菩薩のお祭りです。日本では古くから地蔵菩薩、いわゆるお地蔵様が子どもの守り神として信仰されてきました。このお地蔵様を供養し、子どもたちの健やかな成長を願うのが地蔵盆です。

地蔵盆は、子どもとの縁が深い地蔵菩薩をお祀りする行事であるため、子どもたちが主体となって催されます。お地蔵様にお参りした子どもたちには、お菓子を配るのが通例で、夜には縁日や盆踊りなどが開かれる地域も少なくありません。

お盆の行事とも関連が深い地蔵盆ですが、日本各地に伝わるお盆と比べると、開催地域は限定的です。主に近畿地方で行われており、北陸や信州などの一部地域でも親しまれています。なお、お盆はご先祖様や故人様を供養する行事のことです。

地蔵盆はいつどこで行われる？

地蔵盆は、8月23日・24日の地蔵菩薩の縁日の頃に行われるのが一般的です。ただし、準備に携わる大人や地域の方々の都合により、この日に近い週末に行われることもあります。近年では少子化の現状を踏まえて、開催日を1日に短縮しているところもあるようです。

また、地蔵盆は京都が発祥の地とされており、近畿地方を中心に行われています。北陸・信州・九州などの一部地域でも親しまれていますが、関東・東海ではほとんど見られません。

地蔵盆にはさまざまな由来がある

地蔵盆にはさまざまな由来がありますが、特に有名なのが賽の河原（さいのかわら）の物語です。仏教では親よりも先に亡くなった子どもの霊は、三途の川にある賽の河原で石を積まなければ成仏できないとされていました。

しかし、石を高く積み上げると、そこに鬼がやってきて石塔を壊してしまいます。このことを哀れに思った地蔵菩薩は、自身が親となって子どもたちを救い、成仏へと導きました。この伝承から、地蔵菩薩は子どもの守り神として祀られるようになり、地蔵盆が行われるようになったといわれています。

地蔵盆には何をする？

ここからは、地蔵盆で主に行われていることをご紹介していきます。地蔵盆の内容は地域によって異なるため、一例としてご参考ください。

お地蔵さまの清掃とお供え

地蔵盆の時期が近づくと、多くの地域ではお地蔵様を洗い清め、前掛けを新調したり、化粧を施したりするのが通例です。お地蔵様といえば、赤い前掛けのイメージが強いですが、古くから赤い色には魔除けの効果があると信じられています。

また、祭壇にはお花を飾り付け、お菓子や果物、紅白の餅や落雁（らくがん）などをお供えすることが多いです。お地蔵様へのお供え物は、お参りした子どもたちがいただくため、地蔵盆ではこれらのものがお供え物としてよく選ばれます。

子どもたちへのお菓子配り

地蔵盆には、お接待という風習があります。ここでいうお接待とは、お地蔵様へのお供え物をお参りした子どもたちに分ける風習です。一般的に、地蔵盆ではお菓子をお供えし、子どもたちはそのお菓子を食べて楽しく過ごします。

また、お参りした子どもたちには屋台やゲーム、福引きなども用意されます。地蔵盆はお地蔵様を供養する行事ですが、子どもたちの中には夏休みのイベントとして楽しみにしている子も多いようです。

伝統行事・地域イベント

地蔵盆では、お地蔵様の周りに提灯を飾るのが定番です。奉納する提灯には地蔵尊と子どもの名前を書き入れることが多いですが、これには「両者の縁を結ぶ」という意味があるとされています。加えて、提灯の色にも地域性があるため、その点にも注目しながらお祭りをお楽しみください。

また、地蔵盆には数珠繰りと呼ばれる伝統行事や、縁日・盆踊りなどの地域イベントが開催されます。数珠繰りとは、直径2〜5メートルほどの大きな数珠を、子どもたちが僧侶の読経に合わせて回していくという儀式です。「数珠まわし」とも呼ばれており、この儀式には心身の浄化や邪気払いの効果があるといわれています。

京都や神戸などの特色ある地蔵盆

地蔵盆は近畿地方を中心に行われており、京都や神戸などその地域の風習、伝統が色濃く反映されています。例えば、京都では町内ごとに屋台を組んでお花や餅などをお供えし、ゲームや福引きなどで楽しく過ごすのが通例です。

しかしながら、地蔵盆の慣習は時代の流れとともに変わりつつあります。実際に少子化による開催期間の短縮などが実施されているため、今後の取り組みにも注目したいところです。

まとめ

地蔵盆とは、子どもの守り神とされるお地蔵様を供養し、子どもたちの健やかな成長を願うお祭りです。主に近畿地方で行われる夏の伝統行事ですが、その内容は地域によって異なります。

地蔵盆ではお地蔵様をさまざまな方法で供養し、またお菓子配りや縁日など子どもたちが楽しめる要素が多いため、お子様にとって良い経験と思い出になることでしょう。