老衰死の前兆にはどのようなものがある?ご老人の死去に備えてご家族ができることを解説
老衰死は病気や事故を原因としない、加齢による亡くなり方のことです。「自然死」や「天寿を全うする」と表現されることが多いです。
日常生活で当たり前にできていたことが徐々にできなくなり、徐々に生命活動を維持できなくなっていくため、いくつかの前兆が見られたら、ご家族はいざというときの心構えや準備をしておく必要があります。
この記事では、老衰死の前兆についてお伝えしていきます。ご老人の死去に備えてご家族ができることも解説していきますので、最後まで目を通してください。
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老衰死とは?
老衰死とは、加齢に伴いさまざまな身体機能が衰弱してお亡くなりになることです。年齢を重ねるほど、心身や身体の機能は衰えていくため、今までどおりの日常生活が送れなくなります。
何歳のご老人が亡くなると老衰死となる?
日本では、何歳からが老衰死となるのかについて定義はなく、医師の間でも意見は分かれているようです。
厚生労働省の「簡易生命表(令和2年)」を見てみると、2020年の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳であると分かります。これらの平均寿命を超えた上での自然死なら、老衰と判断する医師が増えているようです。
どのくらいの割合の人が老衰死を迎える?
老衰死を迎える方は年々増えており、厚生労働省の発表によると、令和2年(2020年)ではお亡くなりになった方の9.6%を占めていました。
日本人の死因の第1位は悪性新生物、第2位は心臓弁膜症などの心疾患ですが、第3位が老衰死となっており、多くの方が自然死していることが分かっています。医療の著しい発展により、近年は老衰死する方が増加傾向にあります。
老衰死の前兆とは?
老衰死を迎えようとしているご老人には、いくつかの兆候が見られることが分かっています。
・体重の急激な減少
・食事量の減少
・筋力の低下
・内臓器官の機能低下
・睡眠時間の増加
これらの前兆が複数見られるようなら、ご家族は心構えが必要な時期に入ったと考えましょう。
体重の急激な減少
内臓機能の衰えにより、食事をしていても栄養が吸収されにくくなり、体重の急激な減少が見られるケースがあります。
食事量の減少
消化機能の低下や飲み込みにくさなどからこれまでどおりの食事が摂れなくなり、食事量が減少します。ご家族は「最近、痩せたな」「食が細くなったな」と感じることが増えてきます。
筋力の低下
握力や歩行速度の低下、転びやすくなるなど、加齢とともに筋力は低下していきます。これらは老衰の兆候として、際立って目につくようになります。
内臓器官の機能低下
内臓器官の機能低下によって、今までどおりの食事を受け付けなくなってきます。食べ物を細かく刻んでペースト状にする、介護食を利用するなどの工夫が必要になります。
睡眠時間の増加
症状がさらに進んでいくと脳機能が低下し、一日の大半を眠って過ごすようになります。幻覚症状や意識を保つのが難しくなり、眠った状態が長くなるので口から栄養を摂取できなくなります。
老衰死に備えてご家族ができること
ここからは老衰死に備えて、ご本人のためにご家族ができることをお伝えてしていきます。
本人の希望をきく
老衰死を迎えるときが近づいてくると意識を保てなくなってくる時間が増えていくので、ご本人が自分の意思をはっきりと伝えられるうちに、「誰に会っておきたいのか」「お墓やご葬儀の形式について」などの希望を事前にきいておきましょう。
ご本人に伝えたいことをしっかりと伝えておく
感謝の気持ちを伝えるなど、ご本人の意識があるうちに伝えたい言葉をしっかりと話しておくことも大切です。入院しているのならこまめに訪問するなど、できる限り後悔が残らないようにしましょう。
ターミナルケアをする
ご本人が苦痛や不安を感じているようならターミナルケアなどの方法についても検討します。
ターミナルケアとは終末期医療とも呼ばれており、最期を迎えようとしているご本人のQOL(Quality of Life:人生や生活の質)の保持を目的とした看護ケアです。痛みや不安、ストレスなどを緩和させるために医師の判断による投薬やご家族・ご友人と過ごす時間を充実させます。
延命治療の意思について話し合う
ご本人の意思を尊重するために、延命治療の意思について相談しておくことも大切です。延命治療とは病気の回復を目的とせず、人工呼吸・人工栄養・人工透析などを行うことを指します。する・しないに関わらず、希望を聞き取っておくことが重要です。
遺言書を準備する
ご家族で話し合った内容やご本人の意志は遺言書や終活ノートにまとめておきましょう。遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」がありますが、形式が間違っていると無効になってしまうケースもあるため、準備する際には書き方や意味をよく理解しておく必要があります。
まとめ
今回は、老衰死の前兆について、またご老人の死去に備えてご家族ができることを解説しました。
日本で老衰死を迎える方の割合が増えており、令和2年(2020年)ではお亡くなりになった方の9.6%を占めていることが分かっています。終末期が近づいてくると「発熱」「むくみ」などが見られるため、危篤状態になると血圧が低下するなどの症状が現れます。
ご家族にとって最期を見守るのはとても辛いことですが、ご本人の意識がある間に会いたいと思っている方に会っておく、感謝の言葉を伝えるなど、ご家族やご本人にとって後悔のないように最期の時間を充実させることが大切です。
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